何が起きたか

KUKA UK & Irelandは2021年1月6日、2021年のロボット・自動化市場が大幅成長するとの見通しを発表した。同社は労働力不足、コロナ禍の社会的距離確保、Eモビリティ車両市場の成長、ライフサイエンス分野の成長を要因に挙げる。国際ロボット連盟(IFR)のデータでは、2019年の世界のロボット設置台数は前年比12%増加した。

詳細

KUKAはEモビリティ分野、特に電気商用車・配送車両・バスに注力し、この分野で「選ばれるロボット・自動化サプライヤー」を目指すとしている。電気自動車の軽量化需要により、アルミやスチールの代わりに複合材料が使われるようになり、KUKAは航空宇宙分野の経験を活かした複合材料の組立・切断・穴あけに強みを持つと説明する。また、ドイツのシステム部門が供給するバッテリー製造組立ラインの経験を英国のEモビリティ分野に移転できるとしている。物流分野では、Eコマースの急成長によりピッキング・梱包ロボットとAGVの需要が高まっており、KUKAと姉妹会社のSwisslogがAGVを生産している。食品飲料分野では、社会的距離の確保と労働力不足への対応として自動化需要が高まると予想する。教育訓練分野では、2020年11月にアイルランドのLouth & Meath Education and Training Board (LMETB)から、ダンドークのAdvanced Manufacturing Training Centre of Excellence (AMTCE)向けに教育用・協働ロボット一式の供給契約を獲得した。この施設は欧州最大級の職業訓練施設となる予定で、6軸ロボット、ロボット溶接セル、ロボットフライス加工セル、協働ロボットなどを含む。英国では、政府のIndustrial Strategy Challenge Fundによる「Manufacturing Made Smarter」コンペティション(総額2000万ポンド)が2020年9月に開始され、スマートファクトリーの訓練センター設立が進められている。KUKA UKはシェフィールド、ウェールズ、エディンバラ、ロンドンの入札に関与している。

Key Facts

KUKA UK & Irelandは2021年1月6日、2021年のロボット・自動化市場が大幅成長するとの見通しを発表した。[2]
KUKAはEモビリティ分野、特に電気商用車・配送車両・バスに注力し、この分野で「選ばれるロボット・自動化サプライヤー」を目指すとしている。[2]
KUKAは2020年11月、アイルランドのLMETBからダンドークのAMTCE向けに教育用・協働ロボット一式の供給契約を獲得した。[2]
IFRのデータによると、2019年の世界のロボット設置台数は前年比12%増加した。[2]
IFRは2021年2月17日、世界の工場での産業用ロボットの年間設置台数が2010年から2019年の10年間で3倍以上に増加し、38万1千台に達したと発表した。[3]

本紙の見方

KUKA UK & Irelandの2021年見通しは、コロナ禍を契機とした自動化需要の高まりを背景に、ロボット市場の成長を予測するものだ。同社は労働力不足、社会的距離の確保、Eモビリティ市場の成長、ライフサイエンス分野の成長を成長要因として挙げる。特に注目すべきは、Eモビリティ分野への注力である。電気自動車の軽量化需要により複合材料の使用が増えるとし、KUKAは航空宇宙分野の経験を活かした複合材料加工の強みを主張する。これは、従来の自動車製造向けロボット需要が減少する中で、新たな成長分野を開拓しようとする戦略とみられる。 本紙の過去報道では、KUKAは2026年にPACK EXPO 2026で包装自動化のライブデモを出展し、協働ロボットLBR iisyとAMRを披露すると報じた。2021年の時点でKUKAはAGVをSwisslogとともに生産しており、物流・包装分野への注力は一貫している。また、ボッシュが2026年にヒューマノイド開発をせず部品供給と量産支援に特化すると発表したことと比較すると、KUKAはロボット本体の製造に軸足を置き続けている。 業界構造への含意として、KUKAの見通しは、コロナ禍がロボット導入の加速要因となったことを示す。IFRのデータでは2019年の設置台数が12%増加しており、2020年のコロナ禍でも需要は衰えなかった。KUKAは食品飲料や一般製造業での需要増を予想しており、これは労働集約型産業での自動化が進むことを示唆する。また、教育訓練分野への投資は、ロボットプログラミングスキル不足への対応であり、長期的な市場拡大の基盤づくりとみられる。 未確定の論点としては、2021年の実際の販売台数や市場成長率がKUKAの予想通りになるかどうかが挙げられる。また、Eモビリティ分野でのKUKAの受注実績や、複合材料加工の技術が実際に競争優位性を持つかどうかは、今後の発表を待つ必要がある。

なぜ重要か

KUKAの2021年見通しは、コロナ禍がロボット需要を構造的に押し上げたことを示す。Eモビリティや食品飲料、教育訓練など、成長分野を特定した戦略は、ロボット業界の今後の方向性を占う上で重要である。

日本への影響

KUKAのEモビリティ分野への注力は、電気自動車の軽量化に伴う複合材料加工の需要増を見込んだものだ。日本のロボットメーカーや工作機械メーカーにとって、複合材料加工やバッテリー製造工程の自動化は競争領域となり得る。また、KUKAが教育訓練分野に投資していることは、日本でもロボットプログラミング人材の育成が課題となる中で、参考になる点がある。