何が起きたか
モルフォは2026年9月11日、自動車シミュレータ分野向けの技術開発に着手すると発表した。実車の走行データから、シミュレータ用の走行シナリオを自動で作り出すAI技術を開発している。
詳細
試験車両を1回走らせて得たデータを、条件を変えながら何度でも使い回せる「シナリオ資産」にする位置づけで、シナリオ作成の時間とコストを削減するとしている。モルフォはパートナーとして出展し、映像管理システム(IVS)で抽出した走行映像からシナリオを生成し、自動車シミュレータ(AURELION)上で実車の走行シーンを再現する流れを紹介する。
Key Facts
| モルフォは2026年9月11日、自動車シミュレータ分野向けの技術開発に着手すると発表した。 | [2] |
| 開発対象は、実車の走行データからシミュレータ用の走行シナリオを自動生成するAI技術である。 | [2] |
| モルフォは映像管理システム(IVS)と自動車シミュレータ(AURELION)を使ったデモを予定している。 | [2] |
本紙の見方
今回の発表の新味は、モルフォが車載向け画像処理・AIを、走行中の認識補助から開発検証の入力生成へと広げた点にある。実車データをもとにシミュレータ用のシナリオを作る発想自体は既定路線だが、モルフォはそれを「人が編集できる形」で自動生成し、1回の走行データを繰り返し使える資産に変える構図を示した。つまり、車両搭載ソフトの性能向上ではなく、検証工程の前段にあるデータ加工をAIで置き換える提案である。本紙の関連記事としては、dSPACE、AURELIONにドライバーモニタリング機能を追加で示されたように、dSPACE側はAURELIONを含むシミュレーション基盤の機能拡張を進めている。今回のモルフォの取り組みは、その基盤に載せる入力コンテンツを自動生成する側に位置するため、両者は競合ではなく、検証環境の下流と上流で噛み合う関係にあるとみられる。モルフォはまた、モルフォ、都産技研の実証型共同研究に採択 屋内自律点検ドローンの計測サービス開発へで示した産業向け展開に続き、画像処理・AIを車載開発工程へ広げている。業界構造でみると、この技術は「実車走行→映像・位置情報→シナリオ生成→シミュレータ検証」という流れの中で、データを検証可能な形式に変換する工程に効く。自動運転やADASの開発では、危険場面や稀な状況を実車だけで集めにくいという制約があるため、シナリオ生成の自動化は検証の反復回数や条件の幅に影響しやすい。もっとも、現時点では量産車向けにどこまで使えるか、どの程度の手修正が必要か、AURELION上での再現精度をどう担保するかはソース本文からは読み切れない。次に確認すべきなのは、対応する走行データの範囲、出力シナリオの種類、そして実際の開発現場での運用条件である。
なぜ重要か
モルフォの説明どおりであれば、実車を何度も走らせずにシミュレータ検証用の入力を増やせるため、自動運転やADASの開発現場でボトルネックになりやすいシナリオ作成の工数に関わる。dSPACE側がAURELIONやIVSを持つことから、検証基盤と入力生成の接続が前提になっており、両者をどう組み合わせるかが実装上の焦点になる。
日本への影響
日本では自動車メーカーや開発ベンダーがシミュレータ検証を使う局面が増えているため、実車データをシナリオ化する工程の自動化は、開発効率だけでなく検証データの扱いにも影響しうる。ソース上はモルフォがIVSとAURELIONの流れを示しており、国内の検証基盤や車載画像処理の実装経験を持つ企業にとって、接続先の一つになり得る構図である。