何が起きたか

KDDIとKDDIスマートドローンは2026年7月22日、携帯電話の電波が届かないエリアの上空で衛星直接通信サービス「au Starlink Direct」とドローンを接続した飛行制御に成功したと発表した。実証は2026年5月18日に茨城県高萩市で実施され、Starlink Mobileとドローンの直接通信による飛行制御は国内初となる。

詳細

実証では、上空でモバイル通信が圏外となるエリアにおいて、飛行中のドローンが「au Starlink Direct」で通信し、機体制御信号および動態情報(テレメトリー)の送受信を行った。これにより、従来のモバイル通信だけでは飛行制御が困難だった環境下でもドローンの飛行が実現できることを確認した。今後は2026年4月に総務省に採択された「令和8年度地域社会DX推進パッケージ事業の実証事業(先進的通信システム活用タイプ)におけるシンボルプロジェクト枠」を通じて、モバイル通信と「au Starlink Direct」のハンドオーバーによる通信方式の最適な組み合わせや、モバイル通信圏外エリアにおける目視外でのドローンの遠隔運航を検証する。KDDIとKDDIスマートドローンは、平時・有事を問わず、全国どこでも10分以内にドローンが遠隔操縦で駆け付け可能となるドローンの社会基盤化を目指すとしている。

Key Facts

KDDIとKDDIスマートドローンは2026年5月18日、茨城県高萩市で「au Starlink Direct」とドローンを接続した飛行制御に成功した。出典一覧
Starlink Mobileとドローンの直接通信による飛行制御は国内初(2026年7月22日時点、KDDI、KDDIスマートドローン調べ)。出典一覧
実証では、モバイル通信圏外エリアで飛行中のドローンが「au Starlink Direct」で通信し、機体制御信号および動態情報(テレメトリー)の送受信を行った。出典一覧
今後は2026年4月に総務省に採択された「令和8年度地域社会DX推進パッケージ事業の実証事業(先進的通信システム活用タイプ)におけるシンボルプロジェクト枠」を通じて実証を行う。出典一覧
KDDIとKDDIスマートドローンは、全国どこでも10分以内にドローンが遠隔操縦で駆け付け可能となるドローンの社会基盤化を目指す。出典一覧

本紙の見方

今回の実証は、ドローンの遠隔運航を巡る通信手段の選択肢を広げる点で画期的だ。従来、ドローンの遠隔運航は主にモバイル通信に依存しており、上空では地上と通信環境が異なるため、圏外となるケースが課題だった。今回、衛星直接通信「au Starlink Direct」をドローンに接続し、機体制御信号とテレメトリーの送受信に成功したことで、モバイル通信圏外でも飛行制御が可能であることを示した。これは、山間部や災害時など、地上インフラが機能しない状況でのドローン活用の実現可能性を大きく広げる。 本紙の過去報道では、みちのりHDとKDDI、日立市で自動運転バス向けAI通信最適化の実証 9月1日開始(2026年8月28日付)やOsaka Metro、KDDI×AVITAのヒューマノイド「ヒナタ」を駅員として実証 梅田駅と谷町九丁目駅で8月31日から(2026年8月28日付)で報じたように、KDDIは通信技術を軸にモビリティやロボット分野での実証を積極的に進めている。今回の衛星直接通信ドローンの実証は、その延長線上にあると同時に、通信インフラそのものをドローンの運航基盤として位置づける点で新規性が高い。 業界構造への含意として、衛星直接通信の活用は、ドローンの運航可能エリアを地上の通信インフラから解放する。これにより、山間部や離島、災害時の被災地など、これまでドローン活用が難しかった領域での需要創出が期待される。また、KDDIが「au Starlink Direct」を自社サービスとして提供することで、ドローン運航事業者にとっての通信手段の選択肢が増え、結果としてドローン産業全体の市場拡大につながる可能性がある。 一方で、未確定の論点も残る。今回の実証は飛行制御の成功を確認したものであり、実用化に向けては、モバイル通信とのハンドオーバーを含む通信方式の最適化や、目視外での遠隔運航の検証が今後必要となる。また、衛星直接通信の利用コストや、ドローン側の機体要件(アンテナや通信モジュールの搭載)なども、社会実装に向けては検討課題となるだろう。

なぜ重要か

今回の実証は、ドローンの運航を地上の通信インフラから解放し、災害時や山間部などでの活用を現実に近づける。KDDIが通信事業者として衛星直接通信をドローンに適用したことは、今後のドローン社会基盤の構築に向けた一里塚となる。

日本への影響

日本は山間部が多く、災害も頻発する。今回の実証は、そうした地域でのドローン活用を可能にする技術であり、日本の地理的特性に適した取り組みといえる。また、KDDIが国内通信事業者として衛星直接通信をドローンに適用したことは、今後の国内ドローン産業の競争力向上につながる可能性がある。