何が起きたか

Hugging Faceは2025年4月14日、オープンソース人型ロボットを開発するPollen Roboticsの買収を発表した。買収により、Hugging Faceはオープンソースロボットの販売を開始し、第一弾として同社のフラッグシップ人型ロボット「Reachy 2」を7万ドルで提供する。Reachy 2は既にコーネル大学やカーネギーメロン大学などの研究機関で使用されており、オープンソースかつVR対応で、研究・教育・身体性AI実験向けに設計されている。

詳細

Pollen Roboticsは2016年設立で、オープンソース人型ロボットの開発を手がけてきた。Reachy 2は7自由度の人間型アームと独自のOrbitaジョイントシステムを備え、最大3kgの物体操作が可能。オムニホイールとLiDARを搭載した移動ベース、VR遠隔操作機能を持つ。オープンソースのハードウェアとソフトウェアを核とし、ソフトウェア、3Dモデル、ドキュメントはHugging Faceの組織ページで公開されている。Hugging Faceは2024年3月に元TeslaのOptimus担当科学者であるRemi Cadene氏を迎え、同年5月にオープンソースのロボティクスライブラリ「LeRobot」を発表。2024年6月にPollen RoboticsとReachy 2で協業を開始していた。今回の買収は、GradioやXetHubに続く5件目の買収となる。

Key Facts

Hugging Faceは2025年4月14日、Pollen Roboticsの買収を発表した。[1]
買収により、Hugging Faceはオープンソースロボットの販売を開始し、第一弾として「Reachy 2」を7万ドルで提供する。[1]
Reachy 2は7自由度のアームとOrbitaジョイントシステムを備え、最大3kgの物体操作が可能。[1]
Pollen Roboticsは2016年設立で、オープンソース人型ロボットを開発してきた。[1]
Hugging Faceは2024年5月にオープンソースのロボティクスライブラリ「LeRobot」を発表した。[1]

本紙の見方

今回の買収は、Hugging Faceがロボティクス分野でソフトウェア基盤からハードウェア供給まで垂直統合を進める動きと位置づけられる。同社は2024年3月に元TeslaのRemi Cadene氏を迎え、同年5月にLeRobotを公開。以来、オープンソースのロボティクスエコシステムを構築してきた。今回のPollen Robotics買収により、ソフトウェアだけでなくハードウェアの設計・製造・販売までを自社で担うことになる。これは、Hugging FaceがPapers with Codeの検索基盤を公開した際に見せた「AI基盤の公開」という戦略と軌を一にする。同社はAIの計算基盤を公開するだけでなく、ロボットという物理的なインターフェースもオープンにすることで、身体性AIの民主化を狙っているとみられる。 Reachy 2の価格7万ドルは、個人研究者には高額だが、大学や企業の研究ラボにとっては導入しやすい価格帯だ。同社は「少なくとも10万台のパーソナルロボットが今年予約される」という2025年の予測を引用しており、市場の成長を見込む。しかし、現時点でReachy 2の販売台数や受注状況は明らかでない。 業界構造への含意として、オープンソースロボットの販売は、従来のクローズドな産業用ロボット市場に新たな選択肢を提供する。特に、Seeed StudioがreBot Arm B601-DMをオープンソース化した動きや、NVIDIAがJetson Thorモジュールを発表したことと合わせ、ロボット開発の参入障壁が下がりつつある。Hugging FaceはLeRobotのエコシステムを活用し、ソフトウェアとハードウェアの両面で標準化を進める可能性がある。 一方、未確定の論点として、Reachy 2の量産体制や、買収後のPollen Roboticsのブランド・製品ラインの継続性が挙げられる。また、Hugging Faceがロボット販売で収益を上げられるかどうかは、今後の受注動向次第だ。

なぜ重要か

Hugging Faceがロボットハードウェアの販売に乗り出すことで、AIとロボティクスの融合が加速する可能性がある。オープンソースのロボットが普及すれば、研究コミュニティや新興企業が低コストで身体性AIを開発できるようになり、産業構造に変化をもたらすだろう。

日本への影響

日本はロボット産業において強みを持つが、オープンソースロボットの分野では欧米勢が先行している。Hugging Faceの買収により、オープンソースロボットのエコシステムが拡大すれば、日本の部品メーカーやソフトウェア企業にとっては新たな市場機会となる一方、競争も激化する可能性がある。