何が起きたか
中国の具身知能スタートアップ銀河通用(Galbot)は、製造環境での移動型産業作業と全身インタラクションを目的としたプロトタイプ人型ロボット「ET1」を公開した。ET1は身長173cm・重量65kgで、48自由度のボディと24自由度のハンド(各手5本指)を備える。計算基盤にはNVIDIA Jetson Thorを搭載し、LinuxベースのROS 2互換環境で動作、OTAアップデートに対応する。
詳細
ET1は準直接駆動ブラシレスサーボモーターと遊星・ハーモニック減速機を採用し、アルミ合金骨格をABS・PCポリマーパネルで覆う。AIにはAstraBrainによる視覚言語行動(VLA)モデルを搭載し、ガラスから行動までの推論を行うとされる。Humanoid.Guideのスキルスコアは10点満点中4点で、ナビゲーション2/5、マニピュレーション2/5と評価されている。
Key Facts
| Galbot ET1は身長173cm、重量65kgのプロトタイプ人型ロボットで、48自由度のボディと24自由度のハンドを備える。 | [2] |
| ET1はNVIDIA Jetson Thorを搭載し、LinuxベースのROS 2互換環境で動作、OTAアップデートに対応する。 | [2] |
本紙の見方
今回のET1公開は、Galbotがこれまで主力としてきた輪式双臂ロボット「G1」や重載ロボット「S1」とは異なる、二足歩行型の産業用ヒューマノイドへの参入を示す。同社は2026年8月にシリーズD+調達で累計13億ドル超を達成し、投後評価額210億元と中国人形ロボット分野で最高評価を記録しているが、その資金の一部が本格的な人型ロボット開発に振り向けられたとみられる。 本紙が既報の通り、Galbotは2026年8月に世界初の自律型ヒューマノイドテニス対戦で100連続ラリーを達成しており、Galbot、世界初の自律型ヒューマノイドテニス対戦で100連続ラリー達成で報じた通り、AIが物理世界でリアルタイムに知覚・判断・行動できることを示す「AstraTennisの瞬間」と位置づけている。ET1に搭載されるAstraBrainは、このテニス対戦で培われた実世界データとVLAモデルの応用とみられ、同社の技術基盤がエンターテインメントから産業応用へと展開する流れが読み取れる。 ET1のスペックは、身長173cm・重量65kg・48自由度と、競合他社の産業用ヒューマノイドと比較して標準的な水準にある。例えば、NineRayのRayNex G3は身長173cm・重量60kg・32自由度で、NineRay、産業用ヒューマノイド「RayNex G3」を公開 100kgのデッドリフト能力で報じた通り、100kgのデッドリフト能力を持つ。ET1は重量が5kg重く、自由度が16多いが、持ち上げ能力は公表されていない。また、UBTECHが2026年に2万台の生産能力を計画するなど、UBTECH、産業用ヒューマノイドと990万元のバイオニックロボットで二極化 価格差60倍超の市場に疑問符で報じた通り、産業用ヒューマノイドの量産競争が激化する中、GalbotはET1をプロトタイプとして公開した段階であり、量産計画や価格は未公表だ。 ET1の特徴は、NVIDIA Jetson Thorを搭載し、ROS 2互換環境とOTAアップデートに対応する点にある。これはソフトウェア開発の標準化と継続的な機能改善を意図したもので、実世界データの収集とモデル更新を効率化する狙いがあるとみられる。また、準直接駆動モーターと遊星・ハーモニック減速機の採用は、コストと性能のバランスを重視した設計で、量産を見据えた選択と解釈できる。 一方、Humanoid.Guideのスキルスコアは4/10と低く、ナビゲーション・マニピュレーションとも2/5に留まる。これはET1がまだ開発初期段階にあることを示しており、実用化にはさらなる改良が必要とみられる。今後の焦点は、ET1の量産時期、価格、そして実際の製造現場での実証結果がどこまで進むかにある。
なぜ重要か
Galbotが二足歩行型の産業用ヒューマノイドに参入したことで、中国の具身知能市場における競争が一層激化する。同社は資金力と技術基盤を背景に、ET1を量産化できれば、UBTECHやNineRayなどと並ぶ主要プレーヤーとなる可能性がある。一方で、スキルスコアの低さが示す通り、実用化にはまだ時間がかかるとみられ、今後の開発進捗が注目される。
日本への影響
ET1の部品構成は、準直接駆動モーターや減速機など、日本の部品メーカーが強みを持つ分野と重なる。Galbotがこれらの部品を内製化するか、外部調達するかは明らかでないが、中国製ヒューマノイドの台頭は、日本の部品サプライヤーにとって供給機会となる一方、価格競争の激化を招く可能性もある。