何が起きたか
国際ロボット連盟(IFR)は2022年9月20日、中国の2021年産業用ロボット設置台数が前年比44%増の24万3300台で過去最高を記録したと発表した。これは世界全体の設置台数の半分を占める。電気電子産業が30%増の8万1600台で最大セクターとなり、自動車産業は電気自動車(EV)生産に牽引され89%増の5万700台と強い回復を示した。
本紙の見方
今回のIFR発表は、中国が世界の産業用ロボット市場で圧倒的な規模を持つことを改めて示した。設置台数24万3300台は世界全体の半分を占め、前年比44%増という成長率は、パンデミック後の回復を中国が牽引したというIFR会長の認識と一致する。注目すべきは、自動車産業の89%増という伸びで、これは中国のEV生産の急拡大が背景にある。中国政府がロボット産業の5カ年計画を掲げ、技術革新による世界的リーダーシップを目指す中、今回の数字はその政策が実需に結びついていることを示唆する。 本紙の過去報道では、米国市場の2025年設置台数が11%増の3万8000台だったのに対し、中国は2021年時点でその6倍以上に達している。また、インドの2021年設置台数が4945台だったことと比べると、中国の規模は約49倍で、アジアにおける中国の突出が際立つ。 業界構造への含意として、中国の需要拡大はロボットメーカーの生産能力とサプライチェーンの再編を促す。特にEV関連の自動車産業向け需要は、溶接や組立などの工程で大型ロボットの需要を喚起し、部品サプライヤーにも影響を与える。中国政府の5カ年計画は技術革新を重視しており、国産ロボットメーカーの育成が進めば、外資系メーカーの市場シェアに影響が出る可能性がある。 未確定の論点としては、2022年以降の中国市場の成長持続性が挙げられる。パンデミック後の反動や、政府の規制・景気対策が需要にどう影響するかは、今後のデータを待つ必要がある。また、今回の発表は速報値であり、確定値が後日修正される可能性もある。
なぜ重要か
中国の産業用ロボット設置台数が世界の半分を占めるという事実は、ロボット産業の競争地図が中国中心に動いていることを示す。自動車産業のEVシフトがロボット需要をさらに押し上げる中、日本を含む各国のロボットメーカーは、中国市場でのシェア拡大と技術競争力の維持が経営課題となる。
日本への影響
中国のロボット需要拡大は、日本のロボットメーカーにとって主要な輸出市場の成長を意味する。特に自動車産業向けロボットは、日本の得意分野であり、中国のEV生産拡大は日本メーカーにとって需要増の機会となる。一方で、中国政府の5カ年計画が国産ロボットの育成を進めれば、中長期的には日本メーカーの競争環境が厳しくなる可能性がある。