何が起きたか

2026年8月13日、ドナルド・トランプ米大統領は外国からのドローンおよび関連部品の輸入に関税を課す布告に署名した。最大100%の関税が課されるのは、最大離陸重量25kg超や熱画像撮影機能を備えたドローンなど「国家安全保障上特に重要な」機体と特定の重要部品。小型・非該当機は25%、日本・EU・韓国・台湾などは15%、英国は10%に抑えられる。同時に商務長官には、国内生産移転プログラムを設立する権限が与えられた。

詳細

関税の対象は、ドローン本体に加えドッキングステーションや特定の重要部品も含む。100%関税の対象は最大離陸重量25kg超のドローンや熱画像撮影機能付きドローン。25%関税はそれ以外の小型ドローン等。日本、欧州連合、リヒテンシュタイン、韓国、スイス、台湾からの輸入は15%、英国は10%。米国は2025年12月に外国製ドローンの輸入を禁止済みだが、部品輸入による国内組み立ては許可しており、この方式を採る企業は今回の関税で打撃を受ける。商務長官には、ドローンおよび部品製造への新規投資を行う企業を対象とした「国内生産移転プログラム」の設立権限が付与され、外国企業の生産拠点を米国内に移すことを促す。

Key Facts

2026年8月13日、トランプ大統領が外国製ドローンおよび関連部品の輸入に最大100%の関税を課す布告に署名した。[1]
100%関税の対象は最大離陸重量25kg超のドローンや熱画像撮影機能付きドローンなど、国家安全保障上重要な機体と特定の重要部品。[1]
日本、EU、リヒテンシュタイン、韓国、スイス、台湾からのドローンおよび部品には15%の関税が適用される。[1]
商務長官には、ドローンおよび部品製造への新規投資を行う企業を対象とした「国内生産移転プログラム」の設立権限が与えられた。[1]
米国は2025年12月に外国製ドローンの輸入を禁止しているが、部品輸入による国内組み立ては許可していた。[1]

本紙の見方

今回の関税措置は、米国が中国製ドローンへの依存を断ち切るための政策の一環と位置づけられる。2025年12月の輸入禁止に続く今回の関税は、部品輸入による国内組み立てという迂回ルートを塞ぐ効果を持つ。特に、最大離陸重量25kg超や熱画像機能を備えた機体に100%の関税を課すことで、軍民両用の高性能ドローンを標的にしている。一方で、日本や韓国、台湾など同盟国・友好国には15%の軽減税率を設定し、中国以外からの調達を促す構造だ。 本紙が2026年8月11日に報じた通り、DJIは商業ドローン市場の70%以上を掌握しており、中国のドローン産業は世界市場で主導的地位を維持している。今回の関税は、こうした中国勢の優位を崩すための米国の対抗措置とみられる。しかし、関税だけでは国内生産の拡大は即座には進まず、商務長官に付与された「国内生産移転プログラム」の実効性が鍵を握る。外国企業の生産拠点を米国内に移すインセンティブをどう設計するかが焦点となる。 また、本紙が2026年8月18日に報じたBloombergコラムの警告(ヒューマノイドロボット産業における北米サプライチェーン構築の急務)と同様の構図が、ドローン産業でも顕在化した。ドローンで中国に市場を奪われた教訓を、ロボット産業に繰り返さないための政策と読める。ただし、関税はコスト増を招き、米国内の需要家や部品調達企業に負担が及ぶ。クレイグ・シングルトン氏が指摘するように、米国企業や政府機関はコストが高くても国内または同盟国サプライヤーへの切り替えを迫られる。 未確定の論点としては、関税の適用開始時期や具体的な品目リスト、国内生産移転プログラムの詳細(補助金規模や対象企業の要件)が挙げられる。また、今回の措置がDJIなど中国メーカーの市場シェアにどの程度影響するかは、今後のデータを待つ必要がある。

なぜ重要か

米国の関税措置は、ドローン産業のサプライチェーンを中国から切り離し、国内生産を促進する試みだ。これは、DJIが支配する商業ドローン市場の構造を変える可能性があり、日本企業にとっては部品供給や生産移転の機会が生まれる一方、中国依存からの脱却に伴うコスト増という課題も突きつける。

日本への影響

日本は今回の関税で15%の軽減税率が適用され、英国(10%)に次いで低い水準に抑えられた。これは、米国が日本を「信頼できるサプライヤー」と見なしている証左とみられる。日本のドローン部品メーカーや、国内組み立てを行う企業にとっては、米国市場での価格競争力が相対的に高まる可能性がある。一方で、中国製部品に依存する日本企業は、関税の影響を間接的に受ける可能性があり、調達先の見直しが迫られるかもしれない。