何が起きたか
Waymoは2026年8月22日、ロボタクシーの性能向上のためカスタムASICチップを開発したと発表した。チップはTSMCの5nm技術をベースに構築され、単体で1000TOPS超の機械学習性能を発揮する。冗長性のため1両に2つのASICチップが装備される。
詳細
Waymoはこれまで既製品のプロセッサを使用していたが、プロセス最適化のためカスタムASICチップに切り替える。チップは生のセンサーデータをリアルタイムで処理・統合し、高度なニューラルネットワークを実行する機械学習専用プロセッサ。低照度環境での認識能力が向上し、13台の高解像度カメラからのデータを同時処理する。物理設計とアーキテクチャ設計の両方を見直した。2026年8月23日から開催されるHot Chipsで講演予定。
Key Facts
| WaymoはカスタムASICチップを開発し、TSMCの5nm技術をベースに構築した。 | [1] |
| チップは単体で1000TOPS超のML性能を発揮する。 | [1] |
| 冗長性目的で1両のロボタクシーに2つのASICチップが装備される。 | [1] |
| Waymoは2026年8月23日から開催されるHot Chipsで講演を行う予定。 | [1] |
本紙の見方
WaymoがカスタムASICチップを開発したことは、ロボタクシー業界における垂直統合の新たな段階を示す。従来、Waymoは既製のプロセッサを使用していたが、専用チップに切り替えることで、センサーデータ処理とニューラルネットワーク実行の効率を最大化する狙いがある。特に低バッチ環境での性能最適化は、実運用でのレイテンシ低減に直結し、安全性と乗客体験の向上につながる。 本紙の過去報道では、AMDが物理AI向けにオープンなパートナーネットワークを発表し、共通基盤の提供を進めている。一方、Waymoは自社専用チップの開発により、オープン標準から離脱し、独自の最適化を追求する姿勢を示す。これは、物理AI分野における「オープンvsクローズド」の戦略的分岐を浮き彫りにする。 また、TSMCの5nmプロセスを採用したことは、サプライチェーンにおけるTSMCの重要性を再確認させる。ソニーとTSMCが熊本にイメージセンサー合弁会社を設立する動きとも重なり、TSMCが自動運転やロボティクス向け半導体の主要な受託製造拠点としての地位を強めている。 業界構造への含意として、カスタムASICの開発は、競合であるTeslaの自社チップ戦略に対抗するものであり、Waymoがハードウェア設計能力を内製化することで、競争優位を確保しようとしている。また、冗長性のための2チップ構成は、安全性への強いコミットメントを示し、規制当局や乗客への信頼醸成に寄与する。 未確定の論点として、チップの具体的な消費電力やコスト、量産スケジュール、そして他社への供給可能性は公開されていない。また、Hot Chipsでの講演内容がどの程度詳細に明らかにされるかが注目される。
なぜ重要か
WaymoのカスタムASICチップ開発は、ロボタクシー業界における半導体設計の内製化トレンドを象徴する。専用チップによる性能最適化は、自動運転の安全性と効率を飛躍的に向上させる可能性があり、競争環境を一変させる。また、TSMCの5nmプロセス採用は、半導体サプライチェーンにおけるTSMCの戦略的重要性を再確認させる。
日本への影響
TSMCの5nmプロセスを採用したことは、日本の半導体産業にとって、TSMCの熊本工場との連携強化の可能性を示唆する。ソニーとTSMCの合弁会社設立など、日本国内での半導体製造基盤の拡大が進む中、Waymoのチップ開発がTSMCの日本拠点に与える影響は今後の焦点となる。