何が起きたか
国際ロボット連盟(IFR)は2025年9月25日、世界の産業用ロボット統計『World Robotics 2025』を発表した。2024年の世界の工場ロボット設置台数は54万2076台で、10年間で2倍以上に増加した。
本紙の見方
IFRが発表した『World Robotics 2025』は、世界の産業用ロボット市場が過去10年で大きく拡大したことを示す。2024年の設置台数54万2076台は、10年前の水準から2倍以上に増えた。この伸びは、自動車産業を中心とした従来の需要に加え、電気電子産業や物流・倉庫分野での自動化投資が牽引してきたとみられる。ただし、今回の発表では国別・産業別の内訳は明らかにされておらず、どの地域・セクターが成長を主導したかは、今後の詳細データを待つ必要がある。 本紙はこれまで、産業用ロボット市場の動向を報じてきた。例えば、[本紙の関連記事]として挙がっている『世界のロボット設置台数、過去最高を更新』(2024年9月26日)では、2023年の設置台数が約59万台に達し、中国が市場の半分以上を占めたと伝えた。また、『中国ロボット市場、世界の過半を占める』(2024年9月26日)では、中国の需要が世界全体を押し上げる構図を指摘した。今回のIFR統計は、こうした流れが続いていることを裏付けるものだ。ただし、2024年の設置台数54万2076台は、2023年の約59万台から減少している。これは、中国市場の調整や、自動車産業の設備投資サイクルの一服が影響した可能性がある。IFRは減少の要因について明言していないが、過去の傾向から、中国の需要減が世界全体の数字を押し下げたとみられる。 業界構造への含意として、ロボットメーカー各社は、中国市場の成長鈍化に備え、インドや東南アジアなど新興市場への展開を強化する必要がある。また、協働ロボットやAIを活用した知能化ロボットの需要が高まる中、従来の産業用ロボットの市場は成熟期に入ったとの見方もできる。IFRの統計は、ロボットメーカーにとって、製品ポートフォリオの見直しや、サービスロボット分野へのシフトを促す材料となるだろう。 今後確認すべき点は、第一に、国別・産業別の詳細な設置台数とその増減要因。第二に、中国市場の動向と、新興国での需要拡大の兆候。第三に、AIや協働ロボットなど新技術が産業用ロボット市場に与える影響の度合いである。IFRの詳細データの公表が待たれる。
なぜ重要か
世界の工場ロボット設置台数が10年で2倍以上に達したことは、製造業の自動化が構造的に進んでいることを示す。ロボットメーカーや部品サプライヤーにとっては、成長市場の変化を捉える重要な指標となる。
日本への影響
日本の産業用ロボットメーカーは、世界市場の主要プレーヤーであり、今回の統計は日本企業の競争環境を占う上で重要だ。ただし、今回の発表では国別データが不明なため、日本市場への具体的な影響は判断できない。