何が起きたか
Michelo Roboticsは2025年9月30日、放射性金属廃棄物の研磨除染を自動化するAIロボットで韓国初の現場検証を完了し、商業ソリューションの展開を開始したと発表した。協業先はプラント用鉄骨構造物大手のSUSAN Industryで、同社の技術研究所のHo-Geun Ryu主席研究員は「パイロット結果は印象的で、現在商業ソリューションを共同展開している」とコメントしている。同社は世界の廃炉市場を500兆ウォン規模と見込み、この実績を基にグローバルな廃炉市場への参入を目指す。
詳細
Michelo Roboticsは、AIプラットフォーム「Michelo AI」を核に、ロボットに知覚・判断・自律動作をもたらす技術を開発している。同プラットフォームは、環境理解の「Perceptual Intelligence」、経路生成の「Motion Logic Generator」、無介入適応の「Adaptive Autonomy」の3層で構成される。除染プロジェクトでは、熟練作業の模倣学習による研磨制御を採用し、主要モジュールとして「Michelo Motion」(実演動作の学習)、「Michelo Vision」(形状・汚染領域の検出)、「Michelo Autopath」(経路生成と圧力・速度の最適化)を使用した。成果として、除染品質のばらつきは±30%から目標範囲内に改善、手動比率は100%から0%(完全自動化)、サイクルタイムは平均150分から約85分(−43%)に短縮された。同社はSUSAN Industryとの協業を皮切りに、大学、ロボットOEM、VC、インテグレーターとのアライアンスを拡大し、APAC・米国・EUの販売代理店とのグローバル展開を模索している。
Key Facts
| Michelo Roboticsは2025年9月30日、放射性金属廃棄物の研磨除染を自動化するAIロボットで韓国初の現場検証を完了し、商業展開を開始したと発表した。 | [2] |
| 協業先はSUSAN Industryで、同社のHo-Geun Ryu主席研究員は「パイロット結果は印象的で、現在商業ソリューションを共同展開している」と述べた。 | [2] |
| 除染プロジェクトでは、熟練作業の模倣学習による研磨制御を採用し、主要モジュールとしてMichelo Motion、Michelo Vision、Michelo Autopathを使用した。 | [2] |
| 成果として、除染品質のばらつきは±30%から目標範囲内に改善、手動比率は100%から0%(完全自動化)、サイクルタイムは平均150分から約85分(−43%)に短縮された。 | [2] |
| 同社は世界の廃炉市場を500兆ウォン規模と見込み、この実績を基にグローバルな廃炉市場への参入を目指す。 | [2] |
本紙の見方
今回の発表は、Michelo Roboticsが単なるロボット制御企業ではなく、AIネイティブなロボット知能プラットフォーム企業として、実フィールドでの検証を完了した点で重要である。同社は「Michelo AI」を中核に、知覚・運動論理・適応自律の3層構造を掲げ、ロボットを「道具」から「自律システム」へ進化させることを目指す。今回の除染プロジェクトは、その技術が実際の産業現場で有効であることを示す初のケースであり、特に「模倣学習」による熟練作業の自動化は、従来のルールベースの自動化では難しかった複雑な作業への応用可能性を示唆する。 本紙の過去記事(2026年3月16日付『PalfingerとICON、Titanロボットシステムで建設用3Dプリントを自動化』)では、Palfingerが大規模ロボティクスとデジタル製造への進出を報じたが、Michelo Roboticsの今回の動きは、ロボット知能の分野で「現場検証」という具体的なマイルストーンを打ち立てた点で、より実践的な段階にある。Palfingerの事例がハードウェアとシステム統合の側面が強いのに対し、MicheloはソフトウェアとAIアルゴリズムを核とし、現場データを学習に活用する点で異なるアプローチを取る。 業界構造への含意として、廃炉市場は世界で209基の停止原子炉のうち完全に廃炉されたのは21基のみで、500兆ウォン規模の市場が形成されつつある。この市場では、放射性廃棄物の除染が最も困難でリスクの高い工程の一つであり、人手による作業は放射線被曝のリスクと品質のばらつきを伴う。Michelo Roboticsの自動化技術は、この課題に対する有力な解決策となり得る。同社はSUSAN Industryとの協業で、プラント用鉄骨構造物大手のノウハウと自社のAI技術を組み合わせ、商業展開にこぎつけた。これは、ロボットベンダー単独ではなく、現場の専門知識を持つ企業とのアライアンスが重要であることを示す。 未確定の論点としては、今回の検証が「非常に低レベル」の放射性廃棄物に限定されている点が挙げられる。より高レベルの廃棄物への適用可能性や、他の廃炉工程への拡張性はまだ示されていない。また、商業展開の規模や、SUSAN Industry以外の顧客獲得の見通しも不明である。さらに、同社の技術が他産業(例えば、表面処理や研磨が必要な製造工程)への応用が可能かどうかも、今後の検証が待たれる。
なぜ重要か
Michelo Roboticsの今回の成果は、AIロボットが単なる実験室の技術ではなく、放射線被曝リスクという現実の課題を解決する実用的なソリューションとして機能することを示した。これは、廃炉市場だけでなく、危険な手作業を伴うあらゆる産業におけるロボット導入の加速につながる可能性がある。読者にとっては、AIロボットの産業応用が「実証段階」から「商業展開段階」に移行したことを示す重要な節目となる。
日本への影響
日本は世界有数の原子力発電国であり、廃炉市場は国内でも大きな課題となっている。Michelo Roboticsの技術は、放射性廃棄物の除染という共通の課題に対する一つの解決策を示すものであり、日本の廃炉関連企業や研究機関にとって参考になる可能性がある。特に、模倣学習による熟練作業の自動化は、日本の高度な職人技術をロボットに移転するという観点からも注目に値する。ただし、日本市場への直接的な影響は現時点では不明であり、今後の動向を注視する必要がある。