何が起きたか

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は2026年8月21日、AIを活用した動画解析により現場のプロセスマイニングを可能にするソリューション「ProcessLens」の提供開始を発表した。同社は本ソリューションを軸に、今後3年間で50件の受注を目指す。

本紙の見方

今回の発表は、CTCが従来のオフィス業務中心だったプロセスマイニングの適用範囲を、工場や倉庫などの現場業務に拡大する点で新規性がある。同社は既に「MiningLab」でプロセスマイニングやリスクマネジメントを提供してきたが、その対象はシステムの稼働ログが取得可能なオフィスワークが中心だった。現場業務は属人的なノウハウに依存し、可視化が難しい領域として残っていた。ProcessLensは定点カメラとAI解析により、この未開拓領域を切り開く試みだ。 本紙の過去報道では、NECファシリティーズが工場・施設向けリスク診断ソリューションを提供開始し、MIXIが会話AIロボット「Romi」向け開発基盤を提供開始、FastLabelがフィジカルAI向けデータ生産工場の支援ソリューションを提供開始したことを報じた。これらの動きは、いずれも現場や実世界のデータを活用した業務改善やAI活用の流れに位置づけられる。CTCのProcessLensも、現場の映像データをAIで解析する点で、この流れに連なるものだ。 業界構造への含意として、映像解析による現場可視化は、製造業や物流業の生産性向上に寄与する可能性がある。特に、熟練作業者と非熟練作業者の差異を可視化することで、技術伝承や人材育成の効率化が期待できる。また、待機時間や移動時間の可視化は、業務プロセス全体の最適化につながる。CTCは「Data&AI Offering Suite」をはじめとするサービス群を拡充しており、映像解析の精度向上と高度化を進める方針だ。 未確定の論点としては、ProcessLensの具体的な導入価格や、どのような業種・工程で効果が高いかといった実績データがまだ公開されていない点が挙げられる。また、AIの解析精度や、プライバシーへの配慮(カメラ監視の従業員への影響)なども今後の検証が必要だろう。

なぜ重要か

現場業務の可視化は、製造業や物流業の生産性向上に直結する。CTCのProcessLensは、属人的だった現場のノウハウをデータ化する一歩となり、AI活用による現場改善の新たな市場を切り開く可能性がある。