何が起きたか

ABBは2020年7月28日、3D品質検査ロボットセル「3DQI」を発表した。同セルは自動車、航空宇宙、重機、建設分野向けで、従来の座標測定機と比べて10倍高速に品質検査を行う。単一の3D白色光光学センサーで1ショットあたり数百万の3D点をスキャンし、部品のデジタルモデルをCAD図面と比較する。

本紙の見方

ABBの3DQIセルは、品質検査工程の自動化を進める上で、速度と精度の両立を図った点が特徴的だ。従来の座標測定機は高精度だが低速で、検査工程がボトルネックになりがちだった。3DQIは10倍の速度向上を実現しつつ、100μm未満の精度を維持することで、生産ラインでのオンライン検査や抜き取り検査の効率を大幅に改善する可能性がある。 本紙の過去記事では、ABBがFedegari Groupに産業用ロボットとRobotStudioを導入し、生産時間を50%短縮した事例を報じた。今回の3DQIは、ABBがロボット単体の導入だけでなく、検査を含む周辺工程の自動化ソリューションを提供する戦略の一環とみられる。特に、3DQIがオフライン検査ステーション向けに設計されている点は、既存の生産ラインに後付けで導入しやすいことを示しており、ABBの顧客基盤である自動車・航空宇宙分野での需要が見込まれる。 業界構造への含意として、品質検査の自動化は、人手不足や熟練検査員の高齢化が進む製造業において、生産性向上と品質安定化の両面で重要度を増している。3DQIのような高速・高精度な検査セルは、検査工程の標準化を促進し、サプライチェーン全体での品質管理の効率化につながる可能性がある。また、モジュール設計により、中小企業でも導入しやすい価格帯や構成を選べる点は、市場拡大の鍵となるだろう。 未確定の論点としては、3DQIの具体的な価格や導入事例、既存の座標測定機との置き換え需要の規模が挙げられる。また、3D白色光センサーの性能が、反射率の高い部品や複雑な形状の部品でどの程度の精度を維持できるかも、実運用での評価が待たれる。

なぜ重要か

ABBの3DQIは、品質検査の自動化を加速させる製品であり、製造業の生産性向上に寄与する。特に、高速かつ高精度な検査を実現することで、従来は人手に依存していた検査工程の自動化が進み、製造業の競争力強化につながる。